コラム

2016-04-22
一部執行猶予制度について

間もなく、刑事事件において一部執行猶予制度が施行される。この制度では、例えば、裁判所が「被告人を懲役2年6月に処する。その刑の一部である懲役6月の執行を2年間猶予する」と判決するもので、この場合、2年6月のうちの2年間を刑務所で受刑した後釈放し、取消されることなく2年が経過すれば、6か月間については刑務所での受刑を免れることになる。

これまで判決時には、全部実刑か全部執行猶予しかなかった。しかし、この制度により、再犯防止の観点から実刑相当であったとしても、一定期間についてはその執行を猶予し、その期間社会内で保護観察をつけることで、犯罪者の社会復帰を図ることができる。刑事司法における新しい選択肢として期待できるが、再犯防止効果については今後の運用にかかってこよう。

罪を犯した者もいつかは社会に復帰する。更生のためにどのように処遇を充実させるか、そこにどれだけ社会資源を投入できるのかが常に課題となる。裁判所における量刑判断も重要だが、判決後の犯罪者の処遇にも更に関心が高まればと思う。

 

弁護士 崔博明

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