民法の大改正が実現する予定です。制定以来、120年ぶりの大改正となります。改正点は多岐に及びますが数回に分けて主だったものを説明していきます。まずは、短期消滅時効の廃止です。
消滅時効とは一定期間の経過によって財産上の権利が消滅する制度のことです。例えば、友人にお金を貸した場合、何も請求せずに返済期限から10年が経過すると返済を請求できなくなってしまいます。これは、一般的な債権の消滅時効期間が、権利行使できる時から10年間と規定されているためです。但し、現行法では、上記以外に、短期消滅時効というものが別途規定されています。例えば、飲食店の代金の時効は1年・小売業の商品代金の時効は2年・弁護士報酬の時効は2年・医師の診察料の時効は3年等です。同じように代金を請求する権利ですが、業種等によって時効期間が異なっています。このような区別は複雑且つその合理性には疑問もありましたので、今回の改正では、業種別の時効が廃止されました。消滅時効期間は、権利行使できる時から10年という従来の一般原則に加えて、「権利行使できると知った時から5年」と規定されました。
弁護士 崔博明
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