コラム

2014-07-21
米タバコ会社に2兆円超の損害賠償

先日、米国フロリダ州の裁判所にて、肺がんで夫を亡くした女性が訴えた訴訟がありました。この訴訟で、裁判所は、タバコの製造及び販売を行っている会社に236億ドル(2兆3800億円)の損害賠償を命じる判決を下しました。

 

アメリカでは、ときにこのような巨額の支払いを命じる判決が見られます。これは、アメリカ法において、「懲罰的損害賠償」という制度が認められているからです。

 

「懲罰的損害賠償」とは、加害行為が社会的に見て、重大な危険をはらんだ悪性がある場合に、実際の損害額を超えて高額の損害賠償を認める制度です。過去の有名な事件では、マクドナルド事件(コーヒーの容器が弱かったせいで、顧客が火傷をしたとして高額の賠償が命じられた事例)などもあります。

 

一方、わが国では、アメリカのような「懲罰的損害賠償」制度は認められておりません。そのため、今回のタバコ訴訟も一見すると海の向こうの出来事のようにも思えます。しかし、この判決によって、タバコが社会的に「悪」であるとの印象がより強くなったのではないでしょうか。

 

今後、タバコ会社の「タバコを販売する自由」、ひいては、愛煙家の「喫煙の自由」に大きな影響を及ぼす事件であると感じたので、本コラムにてご紹介させていただきました。

 

弁護士 小仲 真介

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