コラム

2025-03-17
遺言と信託

 ある不動産を所有している人が、遺言書でその不動産を誰に相続させるか指定することはできますが、相続させた人が死亡した時に当該不動産を相続させる人物までは指定できません。

 

 例えば、子供がいないAさんが、住んでる家を自身が亡くなった時には妻であるBさんが住めるようにし、妻であるBさんが亡くなった後は、Aさんの甥であるCさんが住めるようにしてあげたいと考えたとします。

 そこで、Aさんが遺言書を作成し、家をBさんに相続させる旨の遺言と、Bさんによる相続後、Bさんが亡くなった時はCさんに家を相続させる旨の遺言を書いたとします。しかし、当該遺言書のCさんに相続させる旨の遺言部分に効力は生じません。

 そのため、Aさんの所有していた家は、妻であるBさんの死後は、Bさんの兄弟姉妹等が相続してしまう可能性が残ってしまいます。

 

 もっとも、信託を利用すれば、Aさんの希望を実現することは可能です。

 すなわち、信託契約をし、家を信託財産に指定した上で、Aさん自身を第一の受益者とし、Bさんを第二の受益者、Cさんを第三の受益者と指定することによって、Aさんの希望を実現することが可能となります。

 

 この他にも遺言では困難であることを信託を利用することにより実現できるケースがありますので、もしお困りのことがありましたら一度ご相談下さい。

 

弁護士 壽和哉

コラム一覧に戻る

Copyright © ZEN法律事務所 All right reserved.