1 概要
「2024年問題」とは、2024年(令和6年)4月1日以降、物流業界における
「時間外労働の上限」が、「年間960時間」に制限されることを言います。
以下では、その概略についてご説明致します。
2 働き方改革法とは
平成30年6月に、働き方改革法が成立し、平成31年4月より順次施行されています。
同法では、時間外労働の上限規制、勤務間インターバル制度、高度プロフェッショナル
制度や同一労働同一賃金等について定められました。
特に、「時間外労働の上限」については、従前は厳格なルールはなかったところ、働き方
改革法により、原則、「1か月45時間、1年に360時間」等のルールが定められました。
もっとも、各業界によって、時間外労働の実態は異なることから、物流業界等の一定の業種
においては、令和6年4月までは猶予期間が設けられていました。
また、令和6年4月からは、物流業界にも上記ルールが適用されますが、これも業界の実態
を踏まえ、「年間960時間」という独自のルールが適用されることになります。
3 今後の対応について
物流業界においては、ドライバーの労働時間を管理することは極めて難しいと感じます。
例えば、荷待ち時間の調整、配送ルートの設定、積込みや荷卸し作業の効率化等、ドライ
バーの裁量に委ねられる部分が多いにもかかわらず、使用者としては、各人の労働時間
(始業、終業、休憩時間)を的確に把握する必要があります。
上記に対応する為、デジタル化による労務管理や業務改善等の方法提案がされていますが、
それが「法的に適切」な管理でなければ、デジタル化による効果を十分に発揮できないこ
とも予想されます。
この機に、一度、労務管理の在り方についてご検討いただくことが重要と思います。
弁護士 久岡秀行
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