DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、配偶者や恋人など親密な関係にある、又はあった者から振るわれる暴力のことです。
「暴力」と聞くと、殴る蹴るなど、①身体的な暴力が重い浮かびますが、DVとされるのは身体的暴力だけではありません。大声で怒鳴るなどのモラハラ、何でも従うように強要する、無視するなどの②精神的・心理的暴力、性行為を強要する、避妊に協力しないなどの③性的暴力、家計を必要以上に管理する、生活費を渡さないなどの④経済的暴力、家族・友人・会社などの人間関係を絶たせる⑤社会的隔離、子供に悪口を言ったり、言わせたりする、子供を取り上げるなどの⑥子どもを使った暴力、この計6種類がDVとされています。
現在のDV防止法では、保護命令の対象は「配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫」を受けている被害者に限定され、他の5種類のDVの被害者は対象とはされていません。しかし最近では、モラハラにより精神的に追い詰められたり、経済的に支配し社会から孤立させられ、被害が深刻化するケースが増え、身体的暴力以外のDVも保護対象にすべきという意見が多く聞かれるようになりました。そこで、DV防止法が改正される見通しとなっています。改正後は、身体的暴力以外のDVの被害者も、裁判所に保護命令を申し立てることができるようになります。
DVの被害者自身は、自分が被害者であることになかなか気づくことができません。まわりの人から「それ、ちょっとおかしいんじゃないの?」と言われたら、一度、自分の状況を考えて下さい。そして、自分はDVの被害者なのかもしれない、と思ったら、すぐに専門家の助けを求めるようにしてください。
弁護士 明司絵美
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