所有者が不明の土地や建物を管理する必要が生じた際、現行法では、不在者財産管理制度(民法25条1項)及び相続財産管理制度(民法952条1項)等が利用されています。
もっとも、上記各制度により選任された不在者財産管理人及び相続財産管理人は、対象土地・建物以外の不在者の財産や相続財産の全般を管理する必要があり、事案の処理に時間を要すること、裁判所に納付する予納金の額が高額となるといった問題がありました。
そのため、改正民法では、所有者不明土地管理制度及び所有者不明建物管理制度を新たに設けました。
新しく設けられた上記制度によると、選任された管理人は、対象土地・建物のみ管理することになるため、「人」単位の制度である不在者財産管理制度及び相続財産管理制度を利用した場合よりも管理人の負担が軽減され、それに伴い予納金の額が軽減されることが見込まれます。
そのため、所有者が不明の土地や建物について利害関係を有する方は、この新しい制度を活用することもご検討ください。
なお、所有者不明土地管理制度及び所有者不明建物制度は、令和5年4月1日に施行される予定です。
弁護士 壽 和哉
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