先日、全聾の作曲家(以下「A」)がゴーストライター(以下「B」)に作曲させていたという疑惑に関する報道がありました。
この場合、著作権法上どのような問題が生じるでしょうか。
ゴーストライターのBが「この曲を書いたのは私です」と主張しない限り、曲が公表された時に著作者と表示されたAが著作者ということになります(著作権法14条によりAが著作者であると推定されます)。もちろん、Bは自分が著作者だと言ってこの推定を覆すことも可能ですが、自分が作曲したということを証明することは簡単ではないと言われています。
また、著作者ではない人の名前で著作物の複製物を頒布することは、著作者名詐称罪(著作権法121条)にあたります(もっとも、実際の著作者と合意の上で行われた場合には、違法性の程度が低く、直ちには処罰されないと考えられます)。作曲という創作行為に限らず、例えば知り合いの有名人のゴーストライターとして本を出版するという場合には、注意が必要です。
弁護士 船倉 亮慈
Copyright © ZEN法律事務所 All right reserved.